
20代の転職で退職金制度を確認する方法|求人票の見方と注意点
2026年10月09日 13:27
転職先の求人票を見ていて、「退職金制度あり」と書かれている会社と、何も書かれていない会社のどちらを選ぶべきか迷うことがあります。
退職金は将来受け取るお金なので、20代の転職では月給や賞与ほど優先して確認していない人もいるでしょう。
しかし、退職金制度は会社によって仕組みが異なります。
制度があっても、一定の勤続年数を満たさなければ支給されない場合があります。
反対に、求人票に「退職金なし」と書かれていても、企業型確定拠出年金が用意されていたり、その分が毎月の給与に反映されていたりすることがあります。
大切なのは、退職金の有無だけで会社を評価せず、支給条件や給与全体、今後積める経験まで含めて判断することです。
この記事では、20代が転職先の退職金制度を確認する方法、求人票で見るべき項目、面接やオファー面談での質問例を解説します。
30秒でわかるこの記事の結論
退職金は、すべての会社に一律で設置が義務付けられている制度ではありません。
求人票に「退職金制度あり」と書かれている場合も、次の項目を確認する必要があります。
支給対象になる最低勤続年数
正社員や契約社員などの対象範囲
退職一時金、企業年金、退職金共済などの制度種類
自己都合退職と会社都合退職による違い
試用期間が勤続年数に含まれるか
中途入社者にも同じ制度が適用されるか
毎月の給与や賞与を含めた待遇全体
退職金制度がないという理由だけで、危険な会社と決めることはできません。
自分がその会社で働く期間を考え、毎月の収入、福利厚生、企業年金、身につく経験まで比較することが大切です。
そもそも退職金制度とは
退職金制度とは、従業員が退職したときや退職後に、会社や外部の制度からお金を受け取る仕組みです。
会社によって制度の種類や支給条件が異なるため、「退職金」という言葉だけで内容を判断しないようにしましょう。
退職金はすべての会社に義務付けられているわけではない
会社には、退職金制度を必ず設けなければならないという一律の義務はありません。
退職金は法律上当然に支払いが義務付けられているものではなく、会社に制度がある場合は、その定めに従った支払いが必要になります。
そのため、退職金制度がない会社へ入社しても、それだけで法律違反になるわけではありません。
一方、就業規則や雇用契約などで退職金を支給すると定めている会社は、決められた条件に沿って支給する必要があります。
まずは制度の有無を確認し、制度がある場合は支給条件まで確認することが基本です。
退職金には複数の受け取り方がある
退職金には、退職時にまとめて受け取る「退職一時金」と、退職後に分割して受け取る「企業年金」があります。
会社によっては、両方を組み合わせていることもあります。
代表的な制度は次のとおりです。
会社が独自に用意する退職一時金
確定給付企業年金
企業型確定拠出年金
中小企業退職金共済
特定退職金共済
「退職金あり」とだけ書かれていても、どの制度なのかによって、受取時期や運用方法、転職時の手続きが異なります。
制度名が記載されている場合は、意味を確認しておきましょう。
制度がある会社でも全員が受け取れるとは限らない
退職金制度には、支給対象になるための条件が設けられている場合があります。
よくあるのが、最低勤続年数です。
例えば「勤続3年以上」が条件なら、入社から2年で自己都合退職した場合は、退職金が支給されない可能性があります。
「厚生労働省の令和5年就労条件総合調査」をもとにした資料では、退職一時金の受給に必要な最低勤続期間を「3年以上4年未満」とする企業が6割弱を占めています。
ただし、これはすべての会社に共通する条件ではありません。
応募先の規程を確認する必要があります。
求人票で退職金制度を確認するときのポイント
求人票では、「退職金制度」の欄だけでなく、企業年金や福利厚生に関する記載も確認しましょう。
一つの言葉だけで判断せず、制度の全体像を見ることが重要です。
「退職金制度あり」の後にある条件を見る
求人票に「退職金制度あり」と書かれている場合は、その後に「勤続3年以上」などの条件がないか確認します。
条件の記載がなければ、入社後すぐに対象になるとは限りません。
次の項目を確認しましょう。
最低勤続年数
雇用形態による対象範囲
試用期間の扱い
休職期間の扱い
定年より前に退職した場合の扱い
自己都合退職と会社都合退職の違い
20代は、数年後にもう一度キャリアを見直す可能性があります。
長期間勤めなければ支給されない制度なら、自分が想定している働き方と合っているかを考える必要があります。
「退職金共済加入」の意味を確認する
中小企業の求人では、「退職金共済加入」や「中退共加入」と書かれていることがあります。
中小企業退職金共済は、会社が従業員ごとに掛金を納付し、退職時には勤労者退職金共済機構から退職金が支払われる制度です。
会社が独自に退職金を積み立てる方法とは異なります。
掛金額や加入期間によって受取額が変わるため、「共済に加入している=十分な金額を受け取れる」とは限りません。
いつから加入対象になるのか、掛金はどの程度なのかを確認すると、制度の実態を理解しやすくなります。
企業型確定拠出年金の有無を見る
求人票に「企業型DC」「確定拠出年金制度」と書かれている場合があります。
企業型確定拠出年金は、会社などが拠出した掛金を加入者が運用し、その結果によって将来受け取る金額が変わる制度です。
一般的な退職一時金のように、退職したときに会社から必ず現金が支払われる仕組みとは異なります。
また、転職や退職をした場合は、積み立てた資産を転職先の制度や個人型確定拠出年金などへ移す手続きが必要になることがあります。
制度があるかだけでなく、会社の掛金、本人負担の有無、運用商品の選び方、退職時の手続きも確認しましょう。
「退職金なし」だけで応募先から外さない
退職金制度がない会社でも、その分を月給や賞与として支給する方針を取っていることがあります。
また、設立から年数が浅い会社や、雇用の流動性が高い業界では、伝統的な退職一時金制度を設けていない場合があります。
退職金がないことだけで、働きにくい会社や経営状態が悪い会社とは判断できません。
一方、給与水準も低く、企業年金や代替制度もなく、制度について説明が曖昧な場合は、長期的な待遇を慎重に確認した方がよいでしょう。
退職金の金額は何で変わるのか
退職金制度があっても、全員が同じ金額を受け取るわけではありません。
計算方法を詳しく公開していない会社もありますが、何が金額に影響するのかを知っておくと質問しやすくなります。
勤続年数
多くの退職金制度では、勤続年数が金額に影響します。
長く勤めるほど支給額が増える設計が一般的ですが、増え方は一定とは限りません。
勤続年数が短い期間は金額が少なく、一定年数を超えた後に増え方が大きくなる制度もあります。
20代の転職では、定年まで働いた場合のモデル金額だけでなく、3年、5年、10年など、自分が現実的に働く可能性のある期間で確認する方が役立ちます。
退職理由
同じ勤続年数でも、自己都合退職と会社都合退職では支給額が異なる場合があります。
本人の希望による転職は、一般に自己都合退職として扱われます。
求人票にモデル退職金が書かれている場合も、どの退職理由を前提にした数字かを確認しなければ、自分に当てはめることはできません。
基本給・等級・ポイント
退職時の基本給と勤続年数をもとに計算する会社もあれば、役職、等級、在籍期間などをポイント化して計算する会社もあります。
毎月の給与が高くても、退職金の計算に使う金額が別に設定されていることがあります。
「基本給が高いから退職金も多い」とは限らないため、金額を重視するなら算定方法を確認しましょう。
中途入社後の勤続期間
転職した場合、通常は転職先へ入社した時点から勤続年数が数えられます。
前職の勤続年数が、そのまま転職先の退職金計算に加えられるとは限りません。
ただし、確定拠出年金や退職金共済など、一定の条件を満たすことで資産や加入期間を移せる制度もあります。
現在加入している制度がある人は、退職前に人事担当者や制度の運営機関へ手続きを確認してください。
退職金制度がない会社を選んでもよいケース
退職金制度がないことは、転職先を比較する際の一つの判断材料です。
ただし、次のような条件が整っているなら、退職金がない会社も選択肢になります。
毎月の給与や賞与に反映されている
退職金として将来支給するのではなく、毎月の給与や賞与を高くする会社もあります。
早い段階から受け取れる点はメリットですが、受け取ったお金を自分で貯蓄・運用する必要があります。
比較するときは、現在の月給だけでなく、基本給、賞与、昇給、各種手当を含めた年間の報酬を確認しましょう。
企業年金や別の資産形成制度がある
退職一時金はなくても、企業型確定拠出年金や会社の積立支援制度が用意されていることがあります。
求人票の「退職金なし」だけを見て判断せず、福利厚生欄や企業年金欄まで確認してください。
ただし、制度名だけでは会社がどの程度負担するのか分かりません。
会社の掛金や本人負担、利用条件を確認して比較しましょう。
将来につながる経験を積める
20代では、今回の会社から受け取る退職金だけでなく、その会社でどのような経験を積めるかも重要です。
市場で評価されるスキルや経験を身につけ、数年後に担当範囲や収入を広げられるなら、長期的な選択肢が増える可能性があります。
反対に、退職金制度が充実していても、希望する経験を積めず、働き続けることが難しい会社なら、制度を十分に活かせないこともあります。
「30代になったときにどうなりたいか」を考え、退職金とキャリアの両方を比較しましょう。
面接・オファー面談で確認するときの質問例
退職金について確認すること自体は問題ありません。
ただし、最初の面接で待遇の質問だけを続けるより、仕事内容や期待される役割を理解した後に確認する方が自然です。
詳しい支給条件は、内定後のオファー面談や労働条件の確認時に聞くとよいでしょう。
制度の種類を確認する質問
求人票の記載だけでは制度が分からない場合は、次のように質問できます。
「求人票に退職金制度ありとありますが、どのような種類の制度でしょうか」
「退職一時金と企業年金のどちらが用意されていますか」
「退職金共済には、入社後いつから加入しますか」
「企業型確定拠出年金について、会社からの掛金と本人負担の仕組みを教えていただけますか」
制度名が分かれば、その後に確認すべき項目を絞れます。
支給条件を確認する質問
最低勤続年数や対象者が分からない場合は、次のように聞けます。
「退職金の支給対象になる最低勤続年数を教えていただけますか」
「試用期間も勤続年数に含まれますか」
「中途入社者にも同じ退職金規程が適用されますか」
「自己都合で退職した場合も支給対象になりますか」
「いくらもらえますか」と金額だけを聞くより、制度と条件を順番に確認する方が、正確な情報を得やすくなります。
書面で確認したい項目
説明を受けた後は、労働条件通知書、雇用契約書、就業規則などで確認します。
特に見ておきたいのは次の項目です。
退職金制度の有無
適用される雇用区分
支給に必要な勤続年数
算定方法
退職理由による違い
企業年金や共済への加入時期
面接で聞いた内容と書面の記載が異なる場合は、入社承諾前に人事担当者へ確認しましょう。
退職金を含めて転職先を比較する手順
退職金は将来の金額が確定していないことも多いため、単純な金額比較だけでは判断しにくい条件です。
次の順番で整理しましょう。
1.制度の有無と種類を確認する
最初に、退職一時金、企業年金、確定拠出年金、退職金共済のどれがあるかを確認します。
求人票に記載がなければ、「制度なし」と決めつけず、募集要項や条件確認の場で確認してください。
2.自分が対象になる条件を確認する
制度があっても、自分が支給対象にならなければ比較材料として使えません。
雇用形態、最低勤続年数、加入開始時期を確認します。
自分が何年程度働く可能性があるかも考えておきましょう。
3.給与全体を比較する
基本給、固定残業代、賞与、昇給、手当と退職金を一緒に確認します。
退職金がある代わりに毎月の給与が低い会社と、退職金がなくても毎月の給与が高い会社では、お金を受け取る時期が異なります。
どちらが正解ということではなく、生活費や貯蓄計画に合う方を選ぶことが大切です。
4.仕事内容と今後のキャリアを確認する
最後に、その会社で担当する仕事と身につく経験を確認します。
退職金は長く働いて初めて金額が大きくなる制度が多いため、仕事内容や働き方が自分に合わなければ、想定どおりに制度を活かせません。
求人票全体から会社を判断する方法は、「20代が転職で見るべき求人票のポイント|危ない求人の見分け方」もあわせて参考にしてください。
退職金を含む待遇の比較に迷っている方へ
退職金制度は、求人票に書かれている言葉だけでは実際の条件が分かりにくい制度です。
「キャリアのトビラ」は、20代・第二新卒の転職活動に特化した転職エージェントです。
転職活動中の方に対して、退職金、給与、賞与、福利厚生などの条件を、仕事内容や今後積める経験とあわせて整理します。
「30代になったときにどうなりたいか」から逆算し、今回の転職で優先すべき条件を一緒に考えましょう。
退職金がない求人へ応募してよいか迷っている方や、複数の求人の待遇を一人で比較しにくい方は、
「キャリアのトビラ」へご相談ください。
まとめ
退職金制度は、すべての会社に設置が義務付けられているものではありません。
制度がある会社でも、最低勤続年数や雇用形態などの条件によっては支給対象にならない場合があります。
求人票では、制度の有無だけでなく、制度の種類、支給条件、加入時期、自己都合退職時の扱いまで確認しましょう。
また、退職金がない会社を一律に避ける必要もありません。
毎月の給与、賞与、企業年金、福利厚生、身につく経験を含めて比較することが大切です。
20代の転職では、将来受け取る退職金だけでなく、その会社で数年間働いた後に何ができるようになるかも考えてください。
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