
20代の転職で固定残業代を確認する方法|求人票の見方と注意点
2026年10月09日 13:25
「月給は高く見えるけれど、固定残業代が含まれているのが気になる」
「固定残業代がある会社は、残業が多い会社なのだろうか」
転職先の求人票を見ると、「月給25万円。固定残業代30時間分を含む」といった記載を見かけることがあります。
固定残業代が含まれていると、月給のうち基本給はいくらなのか、実際にはどの程度残業するのかがわかりにくく感じる人もいるでしょう。
ただし、固定残業代があることだけで、危ない会社や残業が多い会社と決めつけることはできません。
重要なのは、金額、対象時間、超過分の扱い、実際の残業時間を分けて確認することです。
この記事では、20代が転職先の固定残業代について、求人票で見るポイント、給与を比較する方法、面接や内定後に使える質問例を解説します。
30秒でわかるこの記事の結論
固定残業代が含まれる求人では、次の5点を確認します。
・固定残業代を除いた基本給
・固定残業代の金額
・何時間分の残業代なのか
・対象時間を超えた場合に追加で支給されるか
・配属予定の部署における実際の残業時間
「固定残業代30時間分」と書かれていても、毎月30時間の残業が必ず発生するという意味ではありません。
一方、実際の残業時間が固定時間を超える場合は、超過分がどのように記録され、支払われるのかを確認する必要があります。
月給の合計額だけではなく、基本給、手当、賞与、昇給を含めて比較しましょう。
固定残業代とは何か
一定時間分の残業代をあらかじめ支給する仕組み
固定残業代とは、実際に残業したかどうかにかかわらず、あらかじめ定めた一定時間分の残業代を支給する仕組みです。
会社によっては、固定残業手当、みなし残業代、業務手当などの名称が使われることがあります。
たとえば、「月給25万円には固定残業代20時間分、3万円を含む」という条件なら、月給25万円の中に20時間分の残業代として3万円が含まれています。
実際の残業が20時間より少なかったからといって、通常は固定残業代がその時間に応じて減るものではありません。
固定時間を超えた分は追加支給が必要
固定残業代を支払っていれば、何時間でも残業させられるわけではありません。
実際の時間外労働に対する割増賃金が、固定残業代として支払われた金額を上回る場合は、差額を支払う必要があります。
労働局では、固定残業代を採用する求人について、次の内容を明示する必要があると案内しています。
・固定残業代を除いた基本給
・固定残業代の対象時間数と金額などの計算方法
・対象時間を超えた時間外労働などには追加で割増賃金を支払うこと
固定残業時間と実際の残業時間は別
固定残業代が30時間分だからといって、実際の残業が毎月30時間とは限りません。
固定残業時間は、給与にあらかじめ含まれている残業代の計算上の時間です。
実際の残業時間は、配属先の仕事量、繁忙期、人員体制、担当業務などによって変わります。
そのため、求人票を見るときは、「何時間分が含まれているか」と「実際に何時間残業しているか」を分けて確認しましょう。
固定残業代がある会社はブラック企業なのか
制度があるだけでは判断できない
固定残業代を採用しているという理由だけで、ブラック企業とは判断できません。
実際の残業が少ない月でも一定額の残業代を受け取れる場合があります。
給与計算や人件費の管理をわかりやすくする目的で制度を導入している会社もあります。
一方で、給与を高く見せるために基本給と固定残業代の内訳をわかりにくくしたり、超過分を支給しなかったりする運用には注意が必要です。
制度の名称ではなく、求人表示と実際の運用が明確かを見ましょう。
確認すべきなのは透明性と運用
固定残業代がある求人では、次の点を確認します。
・基本給と固定残業代が分けて記載されている
・固定残業代の金額と対象時間がわかる
・超過分を追加支給すると明記されている
・実際の残業時間を説明してもらえる
・勤怠を正確に記録する仕組みがある
・求人票と労働条件通知書の内容が一致している
これらの説明が具体的で、質問への回答に一貫性があるかを見ることが大切です。
固定残業代がない会社でも残業は発生する
固定残業代がない求人なら、残業が少ないとは限りません。
実際に残業した時間に応じて残業代を支給する会社でも、繁忙期や部署によって残業が増えることがあります。
反対に、固定残業代が含まれていても、実際の残業が少ない会社もあります。
制度の有無だけで選ばず、仕事量、人員体制、繁忙期、実際の残業時間を確認しましょう。
求人票で確認したい6つのポイント
1.基本給
最初に、月給の合計額から固定残業代を除いた基本給を確認します。
たとえば、次の2社はどちらも月給25万円です。
A社
・基本給22万円
・固定残業代20時間分、3万円
B社
・基本給19万円
・固定残業代40時間分、6万円
月給だけを見ると同じですが、基本給と固定残業時間は異なります。
基本給は、賞与や昇給、各種手当の計算に影響する場合があります。
月給の合計だけでなく、内訳を比較しましょう。
2.固定残業代の金額
固定残業代として毎月いくら支給されるのかを確認します。
「営業手当5万円」の中に固定残業代が含まれている場合は、そのうち固定残業代に当たる金額がいくらなのかを見る必要があります。
固定残業代以外の手当と合算されていて、内訳がわからない場合は、応募前または面接で確認しましょう。
3.対象となる時間数
固定残業代が何時間分に当たるのかを確認します。
10時間分、20時間分、40時間分など、会社によって設定は異なります。
時間数が長いだけで直ちに問題とはいえませんが、実際の残業時間や働き方を詳しく確認する必要性は高くなります。
また、時間外労働だけでなく、深夜労働や休日労働分を含む場合は、それぞれの内訳も確認しましょう。
4.超過分の扱い
固定残業時間を超えた場合に、超過分を追加で支給すると書かれているか確認します。
求人票に記載がない場合は、会社へ質問しましょう。
また、制度上は追加支給するとされていても、実際に残業時間を申請しにくい環境では、適切に運用されない可能性があります。
勤怠をどのように記録し、超過分をどの時点で確認するのかまで聞けると安心です。
5.月平均残業時間
求人票に月平均の時間外労働が記載されている場合は、固定残業時間と見比べます。
ただし、会社全体の平均が、自分の配属予定先にも当てはまるとは限りません。
営業部門と管理部門、通常期と繁忙期では、残業時間が異なることがあります。
面接では、配属予定の部署や同じ職種の残業時間を確認しましょう。
残業の多さを理由に転職を考えている場合は、「20代で残業が多くて辞めたいと感じたら?転職で働き方を変える方法」もあわせて参考にしてください。
6.36協定の特別条項
求人票に「36協定における特別条項あり」と記載されていることがあります。
特別条項があることだけで、毎月長時間残業が発生するとは限りません。
臨時的に業務が増える場合に備えて定めている会社もあります。
確認したいのは、どのような事情で特別条項が使われるのか、実際に使われる頻度、繁忙期の残業時間です。
固定残業代の時間数と36協定の上限を同じものとして扱わないようにしましょう。
月給を比較するときの考え方
月給の高さだけで選ばない
求人を比較するとき、月給が高い会社に魅力を感じるのは自然です。
しかし、固定残業代が含まれている求人と、残業代を別途支給する求人では、月給の意味が異なります。
たとえば、次のように分けて確認します。
・基本給
・固定残業代
・その他の固定手当
・実際の残業時間
・超過分の支給
・賞与の算定方法
・昇給の対象となる金額
月給だけでなく、1年間で受け取る可能性のある金額と、働く時間を一緒に見ましょう。
賞与の算定基礎を確認する
求人票に「賞与2か月分」と書かれていても、月給25万円の2か月分とは限りません。
基本給をもとに計算する会社であれば、固定残業代や手当を除いた金額が算定の基礎になることがあります。
賞与は会社の業績や本人の評価によって変わることもあるため、必ず同じ金額を受け取れるものではありません。
確認する場合は、「賞与は主にどの金額を基準に算定されますか」と質問しましょう。
昇給後の内訳も考える
「昇給あり」と書かれていても、基本給が上がるのか、固定残業代を含む総額が変わるのかによって意味が異なります。
役割が増えたときに、基本給、手当、固定残業代のどこが変わるのかを確認できると、数年後の給与を考えやすくなります。
入社時の月給だけでなく、経験を積んだ後にどのように評価や給与が変わるかも見ましょう。
面接で固定残業代を確認する質問例
実際の残業時間を聞く
「配属予定の部署では、通常期と繁忙期の残業時間はそれぞれどの程度でしょうか」
「同じ職種の方は、月にどの程度残業することが多いですか」
「残業が発生する主な理由や時期を教えていただけますか」
単に「残業は多いですか」と聞くより、部署と時期を分けて聞く方が具体的な回答を得やすくなります。
超過分の申請方法を聞く
「固定残業時間を超えた場合、超過分はどのような流れで確認、支給されますか」
「勤怠時間は、どのような方法で記録していますか」
「残業を申請する際に、事前承認は必要でしょうか」
事前承認が必要であること自体が問題とは限りません。
実際に働いた時間が記録され、必要な超過分が支払われる仕組みかを確認しましょう。
給与の内訳を聞く
「月給のうち、基本給、固定残業代、その他の手当の内訳を教えていただけますか」
「固定残業代には、時間外労働以外に深夜労働や休日労働分も含まれていますか」
「試用期間中と本採用後で、固定残業代の金額や対象時間に違いはありますか」
給与の最終条件は、面接官ではなく人事担当者が管理している場合があります。
選考中に回答が得られなければ、内定後に労働条件通知書を見ながら確認しましょう。
内定後に書面で確認したいこと
労働条件通知書の金額を見る
内定後は、労働条件通知書や雇用契約書で、自分に適用される給与を確認します。
次の項目が分かれているか見ましょう。
・基本給
・固定残業代の金額
・固定残業代の対象時間
・その他の手当
・対象時間を超えた場合の支給方法
求人票と書面の内容に違いがある場合は、内定承諾前に確認してください。
年収例ではなく自分の提示条件を見る
求人票に書かれたモデル年収は、役職者や成果を上げた社員の例である場合があります。
残業代や賞与、インセンティブを含んだ金額かもしれません。
自分に提示された基本給、固定残業代、手当、賞与の条件を使って、想定年収を確認しましょう。
口頭説明との違いを確認する
面接で「残業はほとんどありません」と説明された一方、書面では固定残業代40時間分が含まれていることがあります。
これは直ちに矛盾とは限りませんが、確認した方がよい状況です。
たとえば、次のように質問します。
「面接では通常の残業は月10時間程度と伺いました。一方、固定残業代は40時間分と記載されています。この時間数を設定している理由と、配属予定先の実際の状況を改めて教えていただけますか」
感情的に問い詰めるのではなく、確認できた事実を並べて聞きましょう。
固定残業代がある求人で注意したいケース
基本給と固定残業代が分かれていない
「月給25万円。固定残業代を含む」とだけ書かれ、金額や時間数がわからない場合は確認が必要です。
給与の内訳を質問しても明確な回答が得られない場合は、応募や内定承諾を慎重に判断しましょう。
超過分を支給しないと説明される
「固定残業代があるため、追加の残業代は出ません」と説明された場合は注意が必要です。
固定残業代の対象時間を超えた時間外労働などについては、追加の支払いが必要になります。
実際の条件に疑問がある場合は、労働局や労働基準監督署などの公的窓口へ確認しましょう。
勤怠を正確に記録していない
超過分を計算するためには、実際に働いた時間を把握する必要があります。
出退勤の記録が曖昧、勤務時間外の作業を記録しない、残業申請をさせないという説明がある場合は慎重に判断してください。
説明が求人票・面接・書面で変わる
求人票では20時間分、面接では30時間分、書面では40時間分というように説明が変わる場合は、自分に適用される条件を確認する必要があります。
変更理由と最終条件を書面で説明してもらい、納得できるかを判断しましょう。
固定残業時間以内なら何時間でも働く前提になっている
固定残業代は、残業を必ず行う義務や、対象時間まで無条件に働かせてよい権利を意味するものではありません。
仕事が終わっていても固定時間までは残ることを求められる、残業を減らす工夫が評価されないという環境なら、自分の働き方と合うかを慎重に考えましょう。
自分に合う求人か判断する方法
固定残業代のある求人を判断するときは、制度の有無だけでなく、仕事内容と働き方まで含めて考えます。
次の順番で整理しましょう。
1.基本給と固定残業代の内訳を確認する
2.対象時間と実際の残業時間を分ける
3.超過分の支給と勤怠管理を確認する
4.賞与や昇給への影響を見る
5.仕事内容と繁忙期を確認する
6.その働き方を続けられるか考える
残業が少ないことを最優先にする人もいれば、一定の残業があっても、身につけたい経験や給与とのバランスに納得できる人もいます。
正解は一つではありません。
ただし、条件がわからないまま「月給が高いから」という理由だけで選ぶのは避けましょう。
20代の転職では、現在の給与だけでなく、その仕事でどのような経験を積み、30代でどのような働き方をしたいかまで考えることが大切です。
固定残業代のある求人を一人で判断しにくいときは
固定残業代が含まれる求人は、月給の総額だけでは他社と比較しにくいことがあります。
また、求人票に書かれた時間数と実際の働き方がどの程度つながっているのか、面接で確認しにくい人もいるでしょう。
「キャリアのトビラ」は、20代・第二新卒の転職活動に特化した転職エージェントです。
転職活動中の方に対して、求人票の給与内訳、仕事内容、残業時間、働き方を一緒に整理します。
月給の高さだけで応募先を勧めるのではなく、現在の経験や希望を踏まえ、その会社で積める経験と条件のバランスを考えます。
企業選びでは、「30代になったときにどうなりたいか」から逆算し、今後のキャリアにつながる仕事かどうかも大切にしています。
「固定残業代を含む給与をどう比較すればよいかわからない」
「残業時間を面接でどのように確認すればよいかわからない」
という方は、「キャリアのトビラ」へご相談ください。
まとめ
固定残業代があることだけで、危ない会社や残業が多い会社とは判断できません。
求人票では、固定残業代を除いた基本給、固定残業代の金額、対象時間、超過分の扱いを確認しましょう。
固定残業時間は、実際の残業時間とは異なります。
面接では、配属予定先の通常期と繁忙期の残業時間、勤怠管理、超過分の申請方法を確認してください。
また、月給の合計だけでなく、基本給、手当、賞与、昇給、働く時間を含めて比較することが大切です。
求人票、面接、労働条件通知書の内容を照らし合わせ、わからない条件を残したまま内定を承諾しないようにしましょう。
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